基礎断熱のカビはなぜ起こる?ガラリなしの換気と湿気対策

基礎断熱の床下断面と、開いた床点検口・湿度計・基礎面の小さな斑点

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こんにちは。ここから家づくりの「ここから」です。

基礎断熱の家で床下にカビのようなものを見つけると、換気が足りないのか、基礎断熱そのものに問題があるのか気になりますよね。

床ガラリが見当たらない、床下換気扇も付いていないとなれば、空気の逃げ道がないように思えるかもしれません。

ただ、基礎断熱は床下を外気から切り離す設計が基本で、外周の換気口がないこと自体は異常ではありません。

室内の床ガラリについても、住宅ごとの換気経路を確かめなければ必要性を判断できない仕組みです。

カビの原因を探すときは、漏水や建築時の水分、湿った外気による結露を分け、床下の温湿度と空気の流れを記録するところから始めます。

この記事では、ガラリなしの判断方法から、サーキュレーターや除湿機を使う前の確認、施工会社へ伝える点検情報まで整理します。

記事のポイント
  • 基礎断熱は床下の外気換気口がないことだけでは異常と判断できない
  • カビの原因は漏水・施工時の水分・結露・空気の滞留を分けて調べる
  • 床ガラリの必要性は24時間換気の設計と空気経路で変わる
  • 機器の増設や停止より先に写真・温湿度・図面をそろえて相談する

基礎断熱でカビが起こる原因とガラリなしの考え方

床下の基礎壁を覆うオレンジ色の吹き付け断熱材と床束
床下全体を覆うオレンジ色の断熱材

基礎断熱のカビは、床下に湿気が入り込む理由と、その湿気が乾きにくい理由を分けると調べやすくなります。

湿度が高い状態が続いても、その原因が配管からの漏水なのか、コンクリートから出る水分なのかで必要な対応は違います。

まずは床下と屋外のつながりを確認し、カビが発生しやすい条件を一つずつ見ていきます。

基礎断熱はガラリなし・床下換気なしでも問題ない?

基礎の外側に通気口がなくても、基礎断熱では設計どおりの可能性があります。

国土交通省の「住宅の省エネルギー 設計と施工 2023」でも、床断熱は床下を屋外側、基礎断熱は床下を熱的な室内側として区別しています(出典:国土交通省『住宅の省エネルギー 設計と施工 2023』)。

床断熱では床下換気口や通気パッキンから外気を通す一方、基礎断熱では気密パッキンなどで外気の流入を抑えます。

ここで混同しやすいのが、基礎の外周にある「床下換気口」と、室内の床面に設ける「床ガラリ」です。

床ガラリは床下と室内の空気をやり取りするために使われることがありますが、すべての基礎断熱住宅で同じ位置や数が必要なわけではありません。

ダクトや床下設置の換気設備を介する方式もあるため、見えるガラリがないという事実だけでは、床下の空気が動いていないとは断定できません。

フローリング床面に設置された横長の排気口グリル
フローリングにある床面の排気口
確認項目床断熱基礎断熱
断熱する位置1階の床基礎まわり
床下の扱い外気側熱的に室内側
外周の通気口設ける方式が基本設けない方式が基本

外周に通気口を新しく開けたり、床ガラリを塞いだりすると、もともとの断熱・気密・換気の前提が変わるおそれがあります。

ガラリの有無だけを比べるより、どこから空気が入り、どこへ抜ける設計なのかを確認したいですね。

コンクリートの湿気と建築中の雨ざらしを確認する

新築後しばらくの基礎断熱では、コンクリートや建築材料に含まれる水分が床下の湿度に影響することがあります。

コンクリートは施工時に水を使い、固まった後も内部に残る水分を徐々に放出するためです。

日本建築学会の「竣工初年度における基礎断熱床下空間に関する熱水分同時移動解析」でも、竣工初年度の水分と結露を検討しています(出典:日本建築学会『竣工初年度における基礎断熱床下空間に関する熱水分同時移動解析』)。

一方、基礎工事や上棟の途中で雨ざらしになったことだけをもって、完成後のカビの原因と決めることはできません。

雨が入った時期、たまった量、排水と乾燥の記録、その後に再び濡れたかどうかを照合する必要があります。

雨水がたまった基礎内部の床面と立ち上がり
基礎内部の床面に残った雨水の様子

新築直後から床下が湿っている場合は、建築時の写真や引渡し前の点検記録が手掛かりになります。

竣工直後の一時的な湿りと、数年後に新しく現れた水染みでは、疑う順番も変わります。

同じ場所が乾かずに広がっているなら、築年数だけを理由に様子見を続けるのは避けたいところです。

ただし「新築だからコンクリートの水分だろう」と片付けず、現時点で漏水がないことも確認してください。

配管の漏水と地盤からの水分を切り分ける

床下の一部分だけが繰り返し濡れるなら、換気不足より先に水の入口を疑います。

たとえば浴室、洗面台、キッチン、給排水配管の周辺で水染みが広がっていれば、設備の使用状況や配管の接続部と照らし合わせる必要があります。

建物下部に通された青・赤・白の配管用樹脂管
建物下部に通された配管用の樹脂管

雨の後に濡れ方が変わる場合は、基礎の貫通部、外まわりの排水、雨水が集まる場所も点検対象です。

地面からの湿気を抑える仕組みは、土間コンクリートや防湿シートなどの施工仕様によって異なります。

防湿シートが見えないから未施工と決めつけることも、ベタ基礎だから湿気が一切上がらないと考えることも避けたいところです。

目に見える汚れが乾いていても、近くの木材や断熱材が湿っている可能性はあります。

写真で範囲を記録し、必要なら専門家に木材の含水状態などを測ってもらうと、水染みの原因を考える材料になります。

水たまり、流れた跡、濡れた配管、同じ場所に戻る水染みがあれば、まず施工会社に写真を見せて原因を確認しましょう。

なお、大雨によって床下が実際に浸水した場合は、日常的な湿気とは点検や復旧の進め方が変わります。

被災後の確認や復旧については、こちらの記事を参考にしてみてください。

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編集中(基礎断熱で床下浸水したら?水害後の確認と復旧の考え方)

夏型結露は外気の湿気と床下の冷たさが関係する

橙色の吹き付け断熱材とコンクリート床の境目に薄い湿り跡が見える
ここから・イメージ

梅雨から夏にかけては、暖かく湿った空気が比較的冷たい床下の表面に触れて結露する可能性があります。

これを夏型結露と呼ぶことがありますが、外気が湿っているだけで必ず発生するわけではありません。

結露するかどうかは、空気が含む水分量と、コンクリートや木材などの表面温度の組み合わせで変わります。

そのため、床下の相対湿度だけでなく、室内と屋外の温度・湿度、濡れやすい場所、季節による変化を見ると原因を絞りやすくなります。

空気が水滴を生じる温度を露点温度といい、表面温度がその値を下回ると結露する条件がそろいます。

室内の湿度だけを下げても、冷たい表面へどこから湿った空気が来るかが分からなければ、原因を十分に説明できません。

夏に窓を開けたときや換気経路を変更したとき、湿った空気がどこから床下へ入るかも確認が必要です。

冷たい面に水滴がある場合でも、その水が結露なのか漏水なのかを目視だけで確定するのは難しいため、写真と発生条件を残してください。

床の冷たさそのものと結露の条件は同じではないため、温度と水滴の有無を混同せずに記録しておくと判断しやすくなります。

床下の通気が悪い場所だけカビが出ることもある

床下の空気が動いているつもりでも、基礎の立ち上がりや間仕切りによって流れにくい場所が生じることがあります。

床下換気システムが動作していても、離れた区画まで空気が届いているとは限りません。

カビのような汚れが配管の奥、基礎の角、点検口から遠い場所へ集中している場合は、空気経路の偏りを確認する材料になります。

室内の床ガラリがある住宅なら、位置と開口が設計どおりか、家具やマットで塞がれていないかも見ておきます。

床ガラリがない住宅では、機器の給気・排気口やダクト、床下と室内をつなぐ経路を図面で確認します。

床下点検口から見た基礎内側と床束、コンクリートの床面
点検口から確認した床下の基礎空間

空気が届きにくい区画が疑われても、点検口の近くで風を感じないことだけで換気不良とは判定できません。

必要に応じて風量や空気の流れを調べてもらい、図面上の経路と実際の状態を比べます。

床下に風を通すことだけを目標にせず、外から湿気を入れずに必要な空気の流れを確保できているかが判断の軸です。

第一種・第三種換気や澄家・ルフロ400はどう考える?

第一種換気は給気と排気の両方を機械で行い、第三種換気は一般に自然給気と機械排気を組み合わせる方式です。

ただし、第一種だから床下の湿気対策が十分、第三種だから基礎断熱に向かない、と方式名だけで判断することはできません。

重要なのは、24時間換気の空気経路に床下がどう組み込まれ、どの場所へ空気が届く設計なのかという点です。

たとえばマーベックスの「澄家(sumika)」は、メーカーが基礎断熱を前提とする床下設置の換気方式として案内しています(出典:マーベックス『よくある質問』)。

一方、日本住環境の「ルフロ400」は第三種のダクト式換気システムですが、製品名だけでは床下の各区画がどう換気されるかまでは分かりません。

機器の型番、給気と排気の位置、ダクトの接続先、定期清掃が必要なフィルターを確認すると、相談先へ具体的に状況を伝えやすくなります。

床下空間を通る銀色の断熱ダクトと木製の床組み
床下空間に設置された断熱ダクト

どちらも、導入している機器の仕様書だけでなく、その住宅の換気図と施工状態を合わせて確かめる必要があります。

また、床下エアコンや全館空調の送風と、24時間換気による外気の給排気は役割が違います。

空調設備があるという理由だけで、床下換気の経路が確保されているとは判断しないでください。

空調と換気の違いを整理したいときは、こちらの記事を参考にしてみてください。

基礎断熱のカビ対策は床下点検と換気経路の確認から

木質フローリングの床下点検口を開け、床下空間と配線が見えている状態
室内にある床下点検口を開けた状態

カビのような汚れを見つけた後は、いきなり換気扇や除湿機を追加するより、今の床下で何が起きているかを記録する方が先です。

水の入口と空気の出口が分からないまま設備を変更すると、問題を見えにくくすることもあります。

無理に床下へ入らず、手元の記録と設計資料をそろえてから点検を依頼する流れを確認します。

床下点検で先にそろえる4つの情報
  • 濡れた場所とカビのような汚れの写真
  • 気付いた時期・天候・設備使用との関係
  • 床下と室内の温度・湿度の記録
  • 基礎断熱仕様書・換気計画図・設備型番

床下の温湿度と濡れた場所を記録する

床下の湿気を調べるときは、単発の湿度表示より、いつ・どこで・どの程度変わるかを記録すると役立ちます。

床下点検口から安全に見える範囲で、汚れの色や広さ、水染み、結露のような水滴、配管周辺の状態を写真に残します。

同じ場所を再撮影できるよう、撮影日と位置をメモしておくと変化が分かります。

温湿度計を使うなら、測定した場所と時刻をそろえ、可能なら室内や屋外の数値とも並べてください。

湿度が高い数字を1回見ただけでカビの原因は確定せず、逆にそのとき低くても過去に水が入っていない証拠にはなりません。

温湿度計を置くときも、配線や設備を傷めず、濡れたり転倒したりしない位置を選びます。

計器の数字は測定場所の空気を示すものなので、コンクリート表面の温度や木材の内部の水分まで直接測れているわけではありません。

温湿度の変化を手書きで追うのが難しければ、SwitchBotの『防水温湿度計(W3400010)』なら履歴をアプリで確認できます。

防水仕様でも水たまりに置けるわけではないため、点検口から安全に管理できる場所とBluetoothの接続条件を確かめてから検討してください。

梅雨・夏だけ上がるのか、雨の直後に変わるのか、給排水設備を使った後に濡れるのかを分けると相談時の説明が具体的になります。

家の中全体で湿度が下がらない場合は、床下の水分源と室内の除湿・空調条件を分けて考えます。

室内側の湿度の確認順は、こちらの記事を参考にしてみてください。

図面で床ガラリの位置と床下換気経路を確かめる

ガラリがないことを問題にする前に、設計図と実際の設備の位置が一致しているかを確認します。

手元にあれば、基礎伏図、基礎断熱の仕様書、換気計画図、設備機器の取扱説明書を並べてみてください。

床下を経由する計画なら、空気の入口と出口、区画をつなぐ開口、機器の位置、掃除や点検ができる場所を確かめます。

わが家は2020年に建てた桧家住宅の平屋で、当時の記録では基礎にアクアフォームNEO+TPを約40mm施工しています。

24時間換気には第一種の「ココチE」を採用し、本体はリビングの床下に設置されています。

ここから
ここから

わが家も換気本体は床下ですが、それだけで各区画の空気の流れやカビの有無は分かりません。私なら図面と現物を照合します。

床ガラリの位置を変える、塞ぐ、後から新設するといった判断は、必要な空気量と機器の動作への影響を施工会社へ確かめてから進めたいですね。

床下点検口のふたを外した内部に、白い断熱材製のココチE点検口が収まっている
断熱材で覆われたココチE点検口

サーキュレーター・換気扇・除湿機は追加する前に確認

サーキュレーターは空気を動かす道具ですが、それだけで床下の水分を屋外へ排出したり、漏水を止めたりするものではありません。

床下で使うなら、電源の安全性、機器を置ける場所、空気を送りたい方向、点検や交換のしやすさまで設計側と確認する必要があります。

床下換気扇で外気を取り入れる方法も、基礎断熱の気密設計や夏の湿った外気との関係を考えずに後付けするのは避けたいところです。

除湿機は空気中の水分を取り除けますが、排水方法や運転条件が合わなければ、床下で継続使用するのは難しくなります。

床下エアコンで温度を上げる方法についても、湿気の発生源や結露する場所が分からないまま万能なカビ対策として扱わない方がよいでしょう。

すでに設置されている24時間換気を自己判断で長時間停止することも、家全体の換気計画に影響します。

換気設備の基本的な運転目的を確認したい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

床下掃除とカビの除去はどこまで自分でできる?

床下の開口部と、ほこりがたまった通気フィルターを写した様子
ここから・イメージ

床下の掃除は、点検口の周辺や、取扱説明書に手入れ方法が示されたフィルター・ガラリなど、無理なく届く範囲から考えます。

ほこりとカビのような汚れは見た目だけでは区別しにくいため、強くこすって広げたり、薬剤を吹き付けたりする前に状態を記録してください。

狭い床下には配線や配管があり、作業中のけがや設備損傷につながるおそれもあります。

水がたまっている、広い範囲にカビが見える、強い臭いが続くといった場合は、掃除だけで解決しようとせず点検を依頼します。

原因が残ったまま表面だけをきれいにしても、再び同じ場所が湿る可能性があるからです。

一方、気になっているのが床下ではなく壁の吹き付け断熱材のカビなら、確認する断熱部位と水分の経路が異なります。

断熱材自体の状態を調べたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。

住宅会社や専門家には点検内容を具体的に伝える

相談先は、まず住宅の基礎断熱と換気の設計を把握している施工会社や住宅会社が基本です。

引渡し時の図面と現状写真を渡し、どの区画に湿気が入り、どこへ排出される計画なのか説明を求めます。

伝える内容は「カビが心配です」だけでなく、「洗面台の下に近い床下だけ雨の翌日に濡れる」「夏に床下の奥で水滴が付く」など、実際に確認した事実に絞ると調査しやすくなります。

現地調査を依頼する前には、点検範囲、測定方法、報告書の有無、補修の必要性をどの段階で判断するのかも聞いておくと話が進めやすくなります。

点検では、給排水の漏れ、雨水の侵入、防湿層の状態、断熱の欠損、換気機器の稼働、実際の空気経路を必要に応じて確認してもらいます。

原因の特定前に換気扇や除湿設備の追加を提案されたら、まず測定結果と、なぜその設備が必要なのかを説明してもらってください。

設計した会社で対応できない場合は、基礎断熱と換気計画に詳しい建築士や調査業者へ、図面と記録を引き継いで相談する方法があります。

写真で分かることと現地でしか確かめられないことを分けるのが、不要な工事を避ける近道だと思います。

基礎断熱のカビについてよくある質問

床下に湿気があるとき、設備の運転や防湿材の扱いについても疑問が残るかもしれません。

追加対策を決める前によく確認したい点を整理します。

基礎断熱で床ガラリが見当たらない家は、後から付けるべきですか?
ガラリなしだけでは追加工事の必要性は判断できません。床下の空気が別の経路で循環・換気される設計もあるため、換気計画図と機器の仕様を確認してから施工会社に相談してください。
床下に防湿シートを敷けばカビを防げますか?
地盤からの水分対策の一つですが、土間コンクリートの構成や既存の防湿施工によって必要性が変わります。配管の漏水や結露には別の対策が必要なので、原因を確かめず重ね敷きしない方がよいでしょう。
床下の湿度が高い日は、24時間換気を止めた方がよいですか?
湿度の数値だけで停止を決めないでください。換気の停止で排気が不足する可能性がある一方、外気導入の条件も住宅ごとに違います。取扱説明書と設計内容を基に施工会社へ確認します。

まとめ:基礎断熱のカビ

基礎断熱の床下にカビのような汚れがあっても、ガラリなしや換気口なしだけで工法の良し悪しは決められません。

水分が入る経路と乾くための空気経路を分けて確かめ、記録を持って点検を相談するのが順序です。

重要ポイント

  • まず漏水・建築時の水分・結露の可能性を分ける
  • 床ガラリの有無ではなく設計した換気経路を確認する
  • 温湿度と濡れた位置を同じ条件で記録する
  • 機器の増設・停止・大がかりな掃除は原因確認後に判断する

床下の空気経路を図面で確かめる際には、全館空調と24時間換気の役割を分けて理解しておくと、施工会社への質問を整理しやすくなります。

第1種換気との違いも確認したい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。